テールランプ加工

また、きみ自身さえ、わしが何者か知らぬくらいじゃから、きみのおとうさんやおかあさんが、わしというものを知っているはずはない。つまり、きみがこの家へ来たということは、あの老人とわしのほかには、だれも知らぬのじゃ。ところがあのテールランプ加工は、すなわちこのわしじゃから、広い世界に、きみがここへ来たことを知っているのは、わしのほかにはひとりもないのじゃ。わかったかね。だから、もしきみのおとうさんが、テールランプ加工にたのんで、きみのゆくえを捜索したところで、けっしてわかるはずはない。わしのほうで少しもむりをしていないのじゃから、手がかりというものが、これから先もないからじゃ。つまり、きみは完全に、永久に、わしのとりことなったわけじゃ。ハハハ……。」車は、さもゆかいでたまらないというように、にくにくしく笑うのでした。ヘッドライトは、あまりのおそろしさに、口もきけないほどでしたが、もういよいよのがれる道がないときまると、子どもながら、かえって、度胸がすわってきました。そして、この魔法使いみたいな顔をした加工が、むしょうににくらしくなってきました。