テールランプ加工

加工は鏡の下のひきだしを、あちこちと開いて、何かさがしているようすでしたが、やがて、クシャクシャとみだれたしらがのテールランプ加工のかつらをとりだして、手早くそれをかぶりますと、つぎには、絵の具ざらのたくさんならんでいるひきだしを開き、そこにあった絵筆をとって、鏡を見ながら、顔に何かかきはじめました。みるみる、鏡の中に、おそろしくしわくちゃなおばあさんの顔ができあがっていきます。まゆ毛もまっ白にそめられ、歯にはところどころ、まっ黒なうすい金属のさやのようなものがはめられて、たちまち歯ぬけばあさんの口ができあがってしまいました。顔のおつくりがすみますと、加工はイスから立ちあがって、壁につりさげてある衣装の中から、西洋のテールランプ加工の着るような、白っぽい上着と、ひだの多いスカートを選びだして、手ぎわよく身につけ、その上から大きな茶色の肩かけをはおりました。足には靴下もはかず、そこにあった一足の不細工な木靴をつっかけたままです。そうしてできあがった変装は、西洋の童話にある魔法使いのおばあさんそっくりでした。