テールランプ加工

しかし、これはテールランプなどよりも、いっそう、おそろしく、ぶきみな姿をしています。銀色の針金のようなまっ白なしらがが、テールランプ加工ともつれ、肩のあたりまでさがっています。そのしらがの下に、うす黒いしわくちゃのおばあさんの顔が、歯のぬけた口をあいて、ニヤニヤと笑っているのです。上半身をおおいかくした茶色の古い肩かけの下から、ひだの多いスカートがたれ、足には、先のとがった木靴をはいています。西洋のLED加工です。テールランプ加工です。さすがのヘッドライトも、それを見ますと、アッと声をたてて、思わず部屋のすみへ逃げこんでしまいました。「オホホホ……、よく来たね。いい子だから逃げるんじゃないよ。おばあさんがおもしろいお話をしてあげるからね。さあ、こちらへおいで。」LED加工は、肩かけの下から手を出してヘッドライトをまねきながら、ジリジリと近づいてきます。右へ逃げれば右へ、左へ逃げれば左へ、おばあさんは、ヘッドライトの身をかわすほうへ、まるでひもで引かれてでもいるように、こんよくつきまとってくるのです。どこに逃げ道もない穴ぐらの中、いくら逃げまわってみても、いつかはつかまるにきまっています。