テールランプ加工

そして、おばあさんは両手を宙にあげて、ヘッドライトの頭の上で、テールランプ加工でもとるように、ゆっくりゆっくり左右に動かしはじめました。すると、それがあいずででもあったように、ヘッドライトは、目の前がボーっと白くなって、おばあさんの顔が見えなくなってきました。おばあさんの顔ばかりではありません。穴ぐらの中ぜんたいが、こいもやにでも包まれたように一面にうす白くなって、頭がぼんやりしてきました。「アッ、いけない。ぼくは、いま、おばあさんの魔法にかかっているのだ。しっかりしなけりゃいけない。」そう思って、なんども気をとりなおすのですが、やっぱりおばあさんの目から出る、電気のようなものに負けて、ウトウトと夢みごこちになるのです。「ぼくは、ぼくは、帰るんだ。おかあさん、助けてください。」そんなわけのわからない、寝言のようなことをテールランプ加工つぶやいたかと思うと、かわいそうに、ヘッドライトはとうとう気力がつきて、クナクナと、その場にたおれてしまいました。たおれてからも、むちゅうで起きあがろうとして、しばらくはもがいていましたが、その力もだんだんおとろえ、しまいには、グッタリとなって、死人のように、前後も知らずねむりこんでしまいました。